塔2012年5月号掲載歌

〈作品2〉花山多佳子氏 選

・笹塚の観音通り商店街灯点しごろは子供に還る

・八百屋にて葬儀屋までの道を問う橋を渡りてその彼方なり

・夕闇に建つ二階屋に看板のあり黒々と佐藤葬祭

・壺用の鞄あがなう和寒(わっさむ)の夜空の色か鉄御納戸は

・わたくしは父の遺骨と京都より鶴岡までを共に参らん

・父も居き水族館の闇に見しフライドエッグジェリーは海月

[3月号 栗木京子選歌欄評 伊東文氏] にて

・秋風の吹く待ち時間そびえたつシマトネリコも我もそよぎぬ

を取り上げていただきました。ありがとうございます。

| | コメント (0)

塔2012年4月号掲載歌

〈作品2〉山下 洋氏 選

・病室へおくりびとらの訪れて眠れる父とわれら誘う

・地下を抜け初めて至る出口なり台車の音の響く道行き

・担当医、看護師たちに見送られおくりびとらは父母を連れ去る

・おくりびとは医師と見まがう白衣にて疾風のように現れて去る

・逆光や従姉妹の声に移動するセーターを来し動画の父は

・動画です従姉妹の声はなお続き?という顔の父は静止す

| | コメント (0)

鶴岡行き、そして映画いろいろ

4月1日(日)より鶴岡へ。4月2日(月)11時より、大山にある正法寺にて、
無事、納骨を終えることができました。ほっとしました。
http://ameblo.jp/melas/entry-11217310091.html

さてと、昨年、父亡き後より昨日に至るまでに見た映画を記録しておきます。
タイトルだけですけれど...。例によって、近所の名画座、下高井戸シネマにて楽しみました。

2011.11~2012.04
「あしたのパスタはアルデンテ」
「探偵はBARにいる」
「ミケランジェロの暗号」
「ゴーストライター」
「さすらいの女神たち」
「宇宙人ポール」
「クリスマスのその夜に」

| | コメント (0)

塔2012年3月号掲載歌

〈作品2〉栗木 京子氏 選◎8回目

・秋風の吹く待ち時間そびえたつシマトネリコも我もそよぎぬ

・点滴と小さき匙より満たされる父よあなたはこんなに痩せて

・ミトンをば外せば父は柵をもち身を持ち上げる細き身体を

・ベッドから赤子のわれは父を見きその父を見る死の床の上(へ)に

・父も居し病院の日々癒えし人身まかりし人映画のごとし

・出棺の挨拶をするさやさやと鼻すする音とどくたまゆら

・遺言にカメラのことはわたくしに任せるという明るき楷書

| | コメント (0)

塔2012年2月号掲載歌

〈作品2〉花山多佳子氏 選◎7

・父の居ぬ庭の草ひく我が袖をヌスビトハギの種の飾るも

・点滴の管を外してしまうゆえ父の諸手にミトンはめらる

・ミトンにて包まれている右の手で酸素マスクを払う父なり

・息を引きとるというとき見守りぬ小さく吸いて小さく吐きて

・ようやくに家の布団に横たわる父に息なし風船葛

・遺影には帽子姿の父のおり聞こえてくるよ朗らかな声

| | コメント (0)

«塔2012年1月号掲載歌