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2005年1月14日 (金曜日)

ハンカチと包帯

 『不倫と南米』を読了しました。原マスミさんによる表紙イラストには、黒尽くめのスーツに白いネクタイ姿の男性と、赤いスリップドレスに赤い靴の女性が、いずれも造作の大きい顔立ちで足を絡め、ポーズを決めている光景が描かれています。数組のカップルは、ぶつかりそうなくらい近い距離にいて、背景は、ダークなワインレッドのベルベットらしく、床はくすんだモスグリーンのカーペットのようです。
 さて、初めて読んだ吉本ばななさんの文章はさっぱりとしていました。ここのつ収められた短編小説の中では、最初の「電話」が心に残りました。ヒロインがおとずれた教会での印象的なシーンの一部を転載させていただきます。
となりにいた太った老婦人が「大丈夫?」と言って汚いハンカチを出してくれた。汚いな、と思いながらも受け取ると、ハンカチからはびゃくだんのようないい香りがした。(吉本ばなな『不倫と南米』世界の旅③幻冬舎文庫、より)
 このくだりを読んで思い出した言葉も、ご紹介しますね。
傷を負った人間は間に合わせの繃帯(ほうたい)が必ずしも清潔であることを要求しない。(三島由紀夫『仮面の告白』新潮文庫、より)

 わかるような気がします。いかがですか、みなさま。

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