塔2012年1月号掲載歌
〈作品2〉山下 洋氏 選◎6
・なめらかなヴィオロンの音は生理的湾曲のなき首の骨撫づ
・入院の父を見舞えぬ不調なりチンチンチンと鉦叩き鳴く
・病室に父は夢見る点滴と葡萄の汁に支えられつつ
・北海道弁の父へと京都弁にて問う母よ うんこさんなど
・深山産みょうがをゆがき甘酢へと放てばほのか色づきはじむ
・照明を生業とせしお向かいはリハビリいややいややいうたら
・入り口に近きベッドゆ去り際に声のかかりぬ気いつけてやと
・父の居る六人部屋にたちこめる京の言葉に揉みほぐさるる
最近のコメント