塔2015年11月号掲載歌
<作品2>三井 修氏選
・小銭入れは一円五円十円を孕みしままに姿くらます
・大戸屋に席なく隣る居酒屋のわれら十四名を吸いこむ
・お隣の煙草屋さんに焼きそばを振る舞われしを今も喜ぶ
・お姉さんは大柄な人眼鏡かけ小学生の我へ笑まいき
・お隣も三人姉妹おじさんは妾宅にいたことを今聴く
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<作品2>三井 修氏選
・小銭入れは一円五円十円を孕みしままに姿くらます
・大戸屋に席なく隣る居酒屋のわれら十四名を吸いこむ
・お隣の煙草屋さんに焼きそばを振る舞われしを今も喜ぶ
・お姉さんは大柄な人眼鏡かけ小学生の我へ笑まいき
・お隣も三人姉妹おじさんは妾宅にいたことを今聴く
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<作品2>花山 多佳子氏選
・岩苔さん花茂さんとう母と吾のその日出会いし人の姓なり
・ただひとひ検査入院した母の不在に父の不機嫌に遭う
・その席はお母さんの席 らしからぬ父の指摘にお尻を浮かす
・いっぱいになるまで母は回さない洗濯槽を指差す父よ
・母かえる渋面は溶けたちまちにいつもの父の笑顔あらわる
・ははそはの母をわたしは箸を持ち鍋に泳がす豚とレタスを
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<作品2>永田 和宏氏選
・麦飯と糠漬けありて満ち足りぬ三十回を唱えて食むも
・われのあと音を立てずにカゴもどす殿方のありいつもの我ぞ
・カウンセラーと名乗る人とて生身なりもう潮時か幾度も思う
・一階に豆のサラダを購えば皿とフォークを添えて二階へ
・焼き鳥の煙のぼうと吐き出され赤きネオンに照らしだされる
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<作品2> 前田 康子氏選
・失敗の続く日々にて修復も成りてゆくなりバラの香りす
・片付きてご飯並びぬ 荒れ果てしすみかに安き気配の流る
・どうしても食べたくてこのチョコレートパフェ食む幸に店は黄昏
・当日の装いまでを整えし伯母われなれど当日は消ゆ
・片や八重また片方は一重にて捨てられしバラ網に繁茂す
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