塔2016年8~5月号掲載歌
塔2016年8月号掲載歌
<作品2>池本 一郎氏選
・葉の間に小さき青梅あまた見ゆ やはり梅なり桃にはあらず
・面接でなくハイキング バーベキューあり とある企業の企み楽し
・初めてのアデノウィルスに攻められて熱の上がるよ銀杏は若葉
・テヘランにアメーバ赤痢患えば風土病とて投薬のなし
・八度だいは薬の効きてよく朝に六度なれども嗅覚失せぬ
塔2016年7月号掲載歌
<作品2>真中 朋久氏選
・この闇に下高井戸の闇におり今日のシネマは悪夢なりけり
・複雑な鍵にてコピーではなくて番号に添い新たに生まる
・植木鉢の窪みの下へ隠したり人に預ける習いのありき
・葉桜の葉のみとなりて天井ゆ滴受けつつ蒸されておりぬ
・名も知らぬ人に紛れて湯浴みする流れ流れよ新緑の憂さ
塔2016年6月号掲載歌
<作品2>三井 修氏選
・煙突の消えて久しき白山湯行かずじまいの最寄りの湯なり
・初めての岩盤浴はうつ伏してまた仰向きに汗の滴る
・身近にもテレビにも見ぬ煙草吸う人あまたおり映画を見れば
・新婚の素朴なる家具好む吾へ華麗なる家具送りし義母よ
塔2016年5月号掲載歌
<作品2>小林 幸子氏選
・縦長の箱型したるカメラなり見上げるように人を捉える
・二眼レフを上から覗きこみながらマイヤーの獲る路上の人ら
・山芋は山のうなぎというと知りそばはとろろと決めて食みおり
・こんにゃくを芋から作る話など成田にて聴く娘の舅より
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