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2016年9月

2016年9月14日 (水曜日)

塔2016年9月号掲載歌

<作品2>永田 淳氏選

・球根を掘り出しみれば痩せている葉のみに消えしチューリップなり

・一輪だけ咲きし画像をカードにす咲き乱れてはつまらぬバラよ

・抜け殻を取りおく人と言われたり服用中は捨てられずおり

・医師も吾もマスクしたまま語り合う春咲く月見草に声なし

・パッキンはユニットバスの肉体の一部にありき海越え届く

・パソコンへアップグレード迫りくるカウントダウン枇杷の実たわわ
 
・失いてにわかに寂しヌイグルミはりねずみから蛙に変える

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塔2016年8~5月号掲載歌

塔2016年8月号掲載歌

<作品2>池本 一郎氏選

・葉の間に小さき青梅あまた見ゆ やはり梅なり桃にはあらず

・面接でなくハイキング バーベキューあり とある企業の企み楽し

・初めてのアデノウィルスに攻められて熱の上がるよ銀杏は若葉

・テヘランにアメーバ赤痢患えば風土病とて投薬のなし

・八度だいは薬の効きてよく朝に六度なれども嗅覚失せぬ


塔2016年7月号掲載歌

<作品2>真中 朋久氏選

・この闇に下高井戸の闇におり今日のシネマは悪夢なりけり

・複雑な鍵にてコピーではなくて番号に添い新たに生まる

・植木鉢の窪みの下へ隠したり人に預ける習いのありき

・葉桜の葉のみとなりて天井ゆ滴受けつつ蒸されておりぬ

・名も知らぬ人に紛れて湯浴みする流れ流れよ新緑の憂さ


塔2016年6月号掲載歌

<作品2>三井 修氏選

・煙突の消えて久しき白山湯行かずじまいの最寄りの湯なり

・初めての岩盤浴はうつ伏してまた仰向きに汗の滴る

・身近にもテレビにも見ぬ煙草吸う人あまたおり映画を見れば

・新婚の素朴なる家具好む吾へ華麗なる家具送りし義母よ


塔2016年5月号掲載歌

<作品2>小林 幸子氏選

・縦長の箱型したるカメラなり見上げるように人を捉える

・二眼レフを上から覗きこみながらマイヤーの獲る路上の人ら

・山芋は山のうなぎというと知りそばはとろろと決めて食みおり

・こんにゃくを芋から作る話など成田にて聴く娘の舅より

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