塔09年12月号掲載歌
<作品2>栗木京子氏 選
・会社への道を急ぎぬ二人より玉蜀黍の背の高き道
・大人らの透き間より見る彼方には光る楽器や白き背広や
・鰓の張り太き眉して「さよならもいえず」と唄う三浦洸一
・寡黙なるお説教など忘れたり歌舞音曲を厭う父なり
・生垣ゆ零れいでたる雀かな ととつんつんと遠ざかり消ゆ
題詠四季「布」前田康子氏選
・いにしえのテレビジョンには劇場の緞帳のごと布の下がりぬ
<作品2>栗木京子氏 選
・会社への道を急ぎぬ二人より玉蜀黍の背の高き道
・大人らの透き間より見る彼方には光る楽器や白き背広や
・鰓の張り太き眉して「さよならもいえず」と唄う三浦洸一
・寡黙なるお説教など忘れたり歌舞音曲を厭う父なり
・生垣ゆ零れいでたる雀かな ととつんつんと遠ざかり消ゆ
題詠四季「布」前田康子氏選
・いにしえのテレビジョンには劇場の緞帳のごと布の下がりぬ
<作品2>池本一郎氏 選
・三十年経しベランダへ初めての子やもりの来る指の五本の
・緊急の父の手術の電話にて京へ帰れば居間に子やもり
・ひと月を居間にとどまる子やもりは尾の半分の男の子なり
・予期せざる父の異変を告げるため子やもりの来し 母は真顔で
・若きより父がファンとは意外なり我がTシャツのマリリン・モンロー
[9月号 真中朋久選歌欄評 沼尻つた子氏] にて
・月見草のほとりに海のある町に生まれなかった弟のおり
を取り上げていただきました。
なんとも素敵な文章と並べていただいて、とてもうれしいです。
<作品2>吉川宏志氏 選
・三つ葉ごしに頭を下に吸いつきし指の五本の君は子やもり
・男湯の口笛の音(ね)は女湯の妹(いも)へ届きぬ「帰るぞ」の音
・マグノリアはスープボウルのように咲く天の香りを零しつつ咲く
・面長の炊飯ジャーの関節の使いすぎらしヒビの広がる
・洗濯機の両手の動く気配して私は「塔」を読んでおります
<作品2>真中朋久氏 選
・月見草のほとりに海のある町に生まれなかった弟のおり
・野良犬の骸や欠けたヒトデまで月の光は滴り触れる
・枕辺のリュックサックに忍ばせし都こんぶとバナナ一本
・ブランコの枠のみ残る公園に歓声は無くポピーの揺れる
・さとがえりせし娘らは金属の大きな鳥の胎内へ行く
・焦点をスノードロップからツグミへと移したり指先をもて
<作品2>花山多佳子氏 選
・たまねぎと長ねぎ以外はアドリブのジュテームスープ願いよ叶え
・野の鳥はバードコールの囀りに少し間を置きピリピリヒリリ
・レンズには枝々を飛びクルクルと白灰黒の小鳥の動く
[6月号 黒住嘉輝選歌欄評 高橋武司氏] にて
・写真館の店主の曰くこの場合強制的に発光させよ
を取り上げていただきました。
<作品2>吉川宏志氏 選
・花の客縫い練り歩く金管の縦笛吹きの髪も金色
・マイク持つビンゴゲームのリーダーはバンドの音を笑顔で制す
・ひろい猫もらい猫との妹兄 同年に果つ病と事故に
・人形に恋するラース 人形の死により人を愛しはじめる
<作品2>黒住嘉輝氏 選○
・初めての品川駅へ降り立てばビルの谷間にみっちゃんとなる
・遥かなる遺伝子たちに乾杯す二十一年ぶりのいとこら
・ナイーヴな少年の棲むオジサンの饒舌を聴く「ですから」多し
・居酒屋の昼なお暗く六葉は光の粒のやけに大きい
・写真館の店主の曰くこの場合強制的に発光させよ
・ムードのある撮ろうとしても撮り得ない写真と父は評してくれぬ
・土手に身を屈めて枯葉被りたる蕗の薹ここかしこに摘みぬ
<作品2> 三井 修氏 選
・セルスドンパークホテルのパーティーに踊りたかった例えばタンゴ
・あの時の運転手さんはホームズに似ていたような家族旅なり
・水没の携帯なれど穴という穴へ熱風送られ息す
・子供部屋に澱む息子よ春うらら『山椒魚』を読めば重なる
あ、5月号を、じっくりと読んでいて気付きました(6月初旬)。
「三月号 作品合評」にて、相原かろさんと、しん子さんとが
・平らかなデスマスクなりマゴチとう魚(うお)の命を汁にいただく
に触れてくださっています。嬉しいです。
お二方とも、「デスマスク」の駄目押しのような「命」はどうかと、
重いのではないかとおっしゃっています。納得です。
<作品2> 真中朋久氏 選
・有より無へ十一の票の翻る一人一人の自己開示経て
・独房と体育館にそれぞれのカフカスの舞い剣の舞いぞ
・風呂敷をするりと解いて両の手で取り出す仕草うつくしきかな
・方形の向きあう隅を結んでは又解くまでの豊かな時間
・曾祖父は甘いもんやと袂より母へ褒美を渡したそうな
・金箔を髪に残して片手にて袂を探る人に会いたし
<作品2> 花山多佳子氏 選
・平らかなデスマスクなりマゴチとう魚(うお)の命を汁にいただく
・オルガンの音(ね)は先生の坐りたる椅子のひしゃげる音(ね)にすりかわる
・息を吐くように鳴る音はあたたかしペダル踏み踏みパフパフパフと
・歌舞伎町に翁しゃがみて右手よりワルツの指揮の繰りだされおり
・シャッポとはフランス語なりカマルグの荒地に拾い少年の言う
[1月号 小林幸子選歌欄評 ほうり真子氏] にて
・吾の狭き額の真中をピシと打つカナブンのため片足を着く
を取り上げていただきました。
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